狼おんなに変身
「おとこは狼なのよ」とは、一世を風靡したピンクレディの歌。だが、突然狼に変身してしまうのは、男性ばかりではなかった。
「16世紀のフランスでは、狼変身の噂とそれゆえの処刑が疫病のように流行した」(マーカタンテ「空想動物園」)とある。この本の中で、当時のある物語がとりあげられている。
ある一人の森番が、狼に変身した貴婦人と格闘して、足を一本切り落とした。荘園主の主人のもとに、その足をもって行くと、足は、人間の手に変わった。その手の指にはまっていた古い指輪から、その手が荘園主の妻のものであることがわかったとある。
この話の真相は、若い森番に惚れたご婦人が彼に迫って、いさかいの上、腕を切り落とされたことを暗示していると解釈できるだろう。
だんなの扱いがわるいと、金のあるご婦人は、その精力と暇をもて余す。この荘園主のご婦人も、つい身近な馬力のある若い男性に惹かれ、思わず挑んでしまった。ところが、その気のない青年にとっては、欲情に燃えた目と態度は狼にみえるほど怖かった。当時は、魔女や人狼は、世間にありふれた実在と信じられていたから、ご婦人が狼に変身したと青年が錯覚したのは当然といえよう。
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